重要文化財
重要文化財 天人文甎
縦39.2cm 横39.2cm 厚さ8cm
岡寺出土と伝えられる方形の文様甎。甎とは笵型に粘土を詰め込んで形成した、レンガあるいはタイル状の焼き物である。四周に幅3cm弱ほどの素文帯が巡り、その中に天人像を浮き彫り風に表現している。天人は少し天空を仰ぎ見るようにして跪坐しており、腰から垂れたひれを両手で捧げ持っている。羽根状の頭飾りは跳ね上がり先端が対葉花文状になっている紐飾りも頭や腰から垂れながら空中に大きく翻っており、まさに天人が降りたたんとする姿見事に表現されている。本品と同様の天人文とみられる塼は国内でも出土が少なくきわめて貴重な遺例と言われている。現在は京都国立博物館に寄託中。岡寺には御分身が安置されている。
奈良県指定文化財
奈良県指定文化財 絹本著色 釈迦十六善神像
南北朝時代 縦106.6cm 横58.8cm
釈迦十六善神像は大般若経の転読において本尊として用いられた画像であり、釈迦を中心に玄奘三蔵や深沙大将を表わす内区と、甲冑を着た十六善神を整然と配置する外区からなる曼荼羅的な構図は大変珍しく、他に類例がない。
図様全体に金泥や截金を用い繊細な装飾を施すほか、全体に裏面からも彩色を施し、部位に応じて異なる彩色を用いるなど非常に丁寧に仕上げられている。 釈迦がまとう衣は縁や裏面まで明確に描き分け、玄奘三蔵が背負う笈に積まれた経巻を一点ずつ表わすなど図像の細部も入念に表現されている。
比較的目の細かい画絹を用いる点やのびやかな墨線、繊細な装飾技法などから、制作は南北朝時代と考えられる。
本品は、珍しい曼荼羅的図像を示す釈迦十六善神像の遺例として高い価値をもち令和5年(2023)3月に奈良県指定文化財に指定される。
寺宝
本尊脇侍 不動明王座像・愛染明王座像
江戸時代
御本尊 如意輪観音菩薩 脇侍。左脇侍(正面に向かって右)には愛染明王、右脇侍(正面に向かって左)には不動明王が鎮座する。寛政六年(1794)に開眼された事が本堂より見つかった祈願札及び光背裏の記述より判明する。近年の調査で両明王像ともに彩色等が浮き上がり剥落の恐れがあり光背も分解脱落の恐れがあることがわかり、開眼されて以来223年、初めての修理を平成29年10月より2年の予定で修理がはじまり、平成31年3月に無事修理を終えお戻りになられました。
寺宝
開山堂 御本尊 阿弥三尊座像
江戸時代
開山堂(納骨回向堂)の御本尊。阿弥陀如来座像の左脇侍(正面に向かって右)には観音菩薩、右脇寺(正面に向かって左)には勢至菩薩が鎮座する。観音菩薩は阿弥陀如来の『慈悲』をあらわす化身で、勢至菩薩は『智慧』をあらわす化身であると言われている。
寺宝
金剛宝塔
高さ34.5cm 桃山時代~江戸時代初期
豪華な台座の上に宝塔形をのせた金銅製の舎利塔。内部には水晶製宝珠形舎利容器を奉安している。屋蓋の軒下には組物を作らず方形の段差で代えている。屋蓋頂上に相輪を掲げ、相輪上部の花弁形から屋蓋の四隅に宝鎖を渡している。全面に精緻な文様が毛彫されており、近世の舎利塔としては出色の出来映えをみせている。現在は奈良国立博物館に寄託中。